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金属3Dプリンターへ工法転換した際に「既存の材質」はそのまま使える?金属3Dプリンターに使用される材質を徹底解説!

2026/08/24

既存工法(切削加工・鋳造・ダイカストなど)で製造していた金属部品を、金属3Dプリンター(積層造形 / AM)へ工法転換しようとする際、「現在使用しているJIS規格の材料をそのまま3Dプリントできるのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。

本コラムでは、S20C・S55C・SCW450をはじめとする切削・鋳造で使用される代表的な材質と金属AM材質の対応表を中心に、工法転換を成功させるための材料選定と技術ポイントを詳しく解説します。

金属3Dプリンターへ工法転換する際に知っておきたい前提

金属3Dプリンター(AM:Additive Manufacturing)で材質を選定する際、既存工法と同じ「材質名」であっても、性能がそのまま引き継がれるとは限りません。この前提を押さえないまま対応表だけを見て材質を決めると、試作段階で強度不足や寸法不良に直面し、手戻りが発生します。

「同じ材質名」でも組織が違う

AMは粉末を層状に溶融・凝固させて造形するため、鋳造や鍛造、切削とは金属組織の成り立ちが異なります。急冷凝固によって結晶粒が微細化する一方、積層方向に沿った柱状組織ができやすく、これが後述する異方性の原因になります。同じ「SUS316L」という材質名でも、鋳造材・圧延材とAM材とでは組織が異なるため、強度や靭性の出方に差が生じる点は最初に理解しておく必要があります。
既存工法から金属3Dプリンターへの工法転換をお考えの方は場合は、下記の対応表をご確認ください。また、造形材料の開発から進めたい、どのような材料開発の実績があるのか知りたいという方は、お気軽にご相談ください。

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材質対応表 既存工法材質⇔AM材質(全体表)

分野ごとに、既存工法で使われてきた代表的な材質と、AMで対応可能な材質の候補、転換時に押さえるべきポイントをまとめました。

分野既存工法・材質(代表例)AM対応材質(相当材)転換のポイント
一般構造・機械部品(炭素鋼鋼材)切削:S45C、SS400など一般構造用鋼マルエージング鋼(18Ni系)、S25C・S20C・SCW450相当組成は異なるが、析出硬化による高強度・高靭性という特性面での置換候補。複雑形状・軽量化が目的の場合に有効
ステンレス精密部品切削・精密鋳造:SUS304/SUS316SUS316L、SUS630、SUS420J2組成的に最も近く直接転換しやすい。耐食性要求部品、医療・食品関連に好適
金型・冷却構造部品金型用鋼:SKD11、NAK80、プリハードン鋼LTX(SKD61相当材)、マルエージング鋼コンフォーマル冷却路など金型内部の自由設計が主目的。硬度・靭性のバランスで代替評価が必要
低熱膨張・精密治具インバー材(Fe-Ni36)切削インバー(AM用インバー粉末)光学治具、検査治具など熱変位を嫌う部品に。AM化で軽量化・一体化がしやすい
アルミ軽量部品ダイカスト:ADC12/切削:A5052、A6061AlSi10Mgダイカスト材(ADC12)と組成が近く転換しやすい。中子・ダイ設計が不要になり試作リードタイム短縮に強み
チタン部品(航空・医療)切削:Ti-6Al-4V(64チタン)Ti-6Al-4V(Ti64)難削材のためAM化のメリットが大きい分野。軽量化・生体適合性が訴求ポイント
耐熱合金部品(航空・エネルギー)精密鋳造:Inconel625/718Inconel625/718鋳造からの転換で複雑内部流路(タービン、燃焼器部品等)を一体造形可能に
放熱・伝熱部品切削:C1100(純銅)、C1820(クロム銅)純銅/CuCrZr等高熱伝導と複雑冷却流路の両立が訴求ポイント。ヒートシンク、金型冷却回路などに
樹脂試作・軽量部品樹脂切削・射出成形エンジニアリング樹脂金属AMとのハイブリッド提案(樹脂試作→金属量産評価)にも活用可
鉄系汎用部品鋳造・鍛造:SS400、FC250(鋳鉄)等SUS316L/マルエージング鋼等直接の材質一致例が少なく、要求特性(強度・耐食性・コスト)ベースでの代替提案が必要
セラミック鋳込み成形・CIM(射出成形)+焼結:アルミナ(Al₂O₃)、ジルコニア(ZrO₂)等セラミックAM材料(Al₂O₃/ZrO₂用光硬化性レジン、バインダージェット用セラミック粉末等)絶縁性・耐薬品性・耐熱性が求められる部品に適用可。金型レス化と複雑な内部流路・格子構造の一体成形がメリット。ただし脱脂・焼成による収縮率管理と後加工が必須で、量産性はまだ発展途上
高耐食部品ハステロイ、インコネル等MAT21難削材のため納期メリット
※上記の表は代表的な置換候補を示したものであり、すべての部品にそのまま当てはまるわけではありません。要求される強度・耐食性・コストの優先順位によっては、表とは異なる材質のほうが適している場合もあります。まずはお気軽にご相談ください。
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一般構造・機械部品

S45CやSS400など一般構造用鋼を使ってきた部品は、AMではマルエージング鋼(18Ni系)が代替候補になります。組成そのものは炭素鋼と異なりますが、析出硬化によって高強度と高靭性を両立できる点が置換の根拠です。複雑形状化や軽量化を目的とする部品では有効な選択肢になりますが、疲労特性や耐摩耗性が要求される部品では個別の評価が必要です。マルエージング鋼のAM適用事例については日本鋳造の資料も参考になります。

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ステンレス精密部品

SUS304やSUS316の切削・精密鋳造品は、AMではSUS316L、SUS630、SUS420J2が対応材質になります。組成的に既存材と最も近いため、対応表の中でも直接転換しやすい分野です。耐食性が要求される医療機器や食品関連設備の部品との相性がよく、AM化の第一候補として検討しやすい分野といえます。

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金型・冷却構造部品

SKD11やNAK80などの金型用鋼は、AMではLTX(SKD61相当材)やマルエージング鋼に置き換わります。この分野での転換目的は材質置換そのものより、コンフォーマル冷却路のような「金型内部の自由設計」にあります。冷却効率の向上と成形サイクルの短縮を狙う場合に有効ですが、金型として求められる硬度と靭性のバランスは個別に評価する必要があります。詳細な設計手法についてはキャステックの資料も参考になります。

低熱膨張・精密治具

インバー材(Fe-Ni36)を切削してきた光学治具や検査治具は、AM用インバー粉末での造形が候補になります。低熱膨張という特性はそのまま活かせるため、AM化によって軽量化や部品の一体化がしやすくなる点がメリットです。複数部品を組み合わせていた治具を一体構造にできれば、組立誤差による熱変位のばらつきも抑えやすくなります。

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アルミ軽量部品

ADC12によるダイカストやA5052・A6061の切削品は、AMではAlSi10Mgが対応材質です。ADC12と組成が近いため転換しやすく、ダイカストで必要だった中子やダイの設計が不要になる点が大きな利点です。特に試作段階では、金型製作を待たずに評価用部品を用意できるため、リードタイムの短縮につながりやすい分野です。

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チタン部品

航空・医療分野で使われるTi-6Al-4V(64チタン)は、AMでも同じTi-6Al-4V(Ti64)が対応材質になります。切削では難削材として加工に時間とコストがかかるため、AM化によるメリットが特に大きい分野です。軽量化と生体適合性の両立が求められる医療用インプラントなどでは、材質そのものを変えずにAMへ転換できる点が訴求しやすいポイントになります。

耐熱合金部品

Inconel625やInconel718の精密鋳造品は、AMでも同じ材質名のまま転換できます。この分野で重要なのは材質の違いよりも、鋳造では実現しにくかったタービン部品や燃焼器部品の複雑な内部流路を一体造形できる点です。耐熱合金という材質特性を維持したまま、形状の自由度を高められることが転換の主な動機になります。

放熱・伝熱部品

純銅(C1100)やクロム銅(C1820)の切削品は、AMでは純銅やCuCrZr等が対応材質です。この分野では高熱伝導という材質特性を保ちながら、複雑な冷却流路を一体で造形できる点が訴求ポイントになります。ヒートシンクや金型の冷却回路など、切削では作りにくかった流路形状を実現したい部品との相性がよい分野です。

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樹脂試作・軽量部品

樹脂切削や射出成形で作られてきた部品は、AMではエンジニアリング樹脂での造形が候補になります。樹脂単体での置換に加えて、樹脂で試作・形状検証を行ったうえで金属AMへ移行するというハイブリッドな進め方も可能です。量産前の形状評価コストを抑えたい場合に活用しやすい分野です。

鉄系汎用部品

SS400やFC250(鋳鉄)といった鋳造・鍛造材は、対応表の中でも直接の材質一致例が少ない分野です。AMではSUS316Lやマルエージング鋼などが候補になりますが、材質名の一致よりも、強度・耐食性・コストといった要求特性を整理したうえで代替材質を提案する進め方が必要になります。

セラミック

アルミナ(Al₂O₃)やジルコニア(ZrO₂)を鋳込み成形・CIM(射出成形)と焼結で加工してきた部品は、AMでは光硬化性レジンやバインダージェット用のセラミック粉末が対応材質になります。絶縁性・耐薬品性・耐熱性が求められる部品への適用が見込め、金型レス化によって複雑な内部流路や格子構造を一体成形できる点がメリットです。ただし、脱脂・焼成工程での収縮率管理と後加工が必須であり、量産性については他分野と比べてまだ発展途上にある点は留保しておく必要があります。

高耐食部品

ハステロイやインコネルといった高耐食材料は、AMではMAT21が対応材質になります。これらは切削加工が難しい難削材であるため、AM化による納期短縮のメリットが出やすい分野です。ただし高耐食性が求められる用途では、耐食性能そのものの評価を個別に行う必要があります。

造形材料開発の流れ

既存工法から金属3Dプリンターへの材質転換は、「組成が近いから」だけで判断すると、異方性や疲労特性の違いによって想定外のトラブルにつながることがあります。金属3Dプリンターへの工法転換をお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。

当社に造形材料の開発についてご相談いただいた場合、以下のような流れで対応させていただきます。

①ヒアリング
技術営業が、部品用途や数量、強度・軽量化・高温強度・熱膨張係数など重視する特性をヒアリングさせていただきます。

②条件開発・材料確保
まずは、充分な密度を確保するために必要な造形条件の開発・研究を行います。
材料支給の場合は、お送りいただいた支給材を使用しますが、材料支給でない場合や、万が一支給材の品質が必要なレベルに達していない場合は、造形粉末メーカーと連携して高品質の造形材料を確保いたします。

③造形テスト
当社では、多数のグローバルメーカー様から材料開発のご相談を日夜頂いているため、材料開発用の造形マシンを保有しております。造形マシンを用いて造形テストを行い、特性評価のための引張試験片の造形を行います。

④評価・試験
顕微鏡や測定機器を用いて、巣や割れが出ていないか確認を行います。

⑤試作・量産
製品開発初期段階の材料開発にとどまらず、試作・量産まで対応可能な造形マシンを複数台取り揃えておりますので、「試作や量産までお願いしたい」というご要望に対しても柔軟に対応させていただきます。

>>当社の金属積層造形の材料開発サービスについてはこちら

造形材料の開発や金属3Dプリンタの試作ならお気軽にご相談ください

当サイトを運営する東金属産業株式会社は、航空宇宙・半導体分野を中心に金属3Dプリンティングの材料開発・試作・量産を行っております。

特にメーカーとの共同開発で豊富な実績があり、長年の経験によって培われたDfAMやトポロジー最適化のノウハウを駆使して工程集約、リードタイム短縮、軽量化、部品一体化など様々な付加価値を提供いたします。

これまで5,000点以上の金属積層造形の試作・量産実績があり、その経験を活かして、切削・研削加工など従来の製造プロセスでは実現困難であった複雑形状や機能性を、金属3Dプリンティングへの工法転換によって実現することをご提案しております。

基本的には、後工程を不要とするネットシェイプ・ニアネットシェイプを目指しますが、要求される面粗度や寸法精度によって後工程が必要になることがあるため、当社では切削、溶接、組立、熱処理、仕上げまでワンストップで対応できる体制を整えております。

さらに、アルミニウム(AlSi10Mg)、ステンレス(SUS316L)、マルエージング鋼、インバーなど様々な造形材料の実績があり、チタン、インコネル、銅合金、樹脂なども協力企業と連携して対応可能です。

切削加工品の工法転換や、部品開発・試作段階における金属積層造形をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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