
金属3Dプリンティングの分野で、従来の常識を覆す高性能アルミ合金「Aheadd® CP1」が注目を集めています。特に、軽量化と高い信頼性が求められる航空宇宙やモータースポーツの業界では、この材料の採用が加速しています。また、アメリカでも防衛産業および航空宇宙分野での応用が期待されています。
本コラムでは、Aheadd® CP1の基礎から具体的な応用事例を紹介します。
また、モータースポーツ・レーシング分野における3Dプリンタの可能性について、解説しております。ぜひご一読ください。
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Aheadd® CP1は、アルミニウム製品で世界をリードするConstellium社が、アディティブ・マニュファクチャリング(AM、積層造形)、特にレーザーパウダーベッドフュージョン(L-PBF)方式に最適化して開発した高性能アルミニウム合金粉末です。Aheadd® CP1は、AM用コンポーネントとしてFIA Formula 1 (2024年)に承認されています。
従来のAM用アルミニウム合金粉末の多くは、シリコン(Si)を含む組成でしたが、Aheadd® CP1はSiフリーのアルミニウム-鉄-ジルコニウム(Al-Fe-Zr)を主成分としています。この独自の組成と微細構造によって、従来の粉末では実現が難しかった造形物の優れた機械的特性、高い熱・電気伝導性、および優れた表面加工性を可能にしました。
Aheadd® CP1は、従来のAM用アルミニウム合金に多く含まれていたケイ素(Si)を含まない、アルミニウム-鉄-ジルコニウム(Al-Fe-Zr)系合金です。このSiフリー組成が、以下の複数の優れた特性の実現を可能にしています。
この合金の最大の特長の一つは、一般的なAM用アルミニウム合金(Al-Si系)と比較して大幅に高い熱伝導性です。これにより、熱交換器や電子機器の冷却部品など、高度な熱管理が求められる用途で、設計の自由度と効率を向上させます。同時に、高い電気伝導性も有しており、電気・電子部品の性能向上にも寄与します。
適切な熱処理を施すことで、高強度(高い引張強度)と高延性(伸び率)を高いレベルで両立します。これは、軽量化が求められる一方で、振動や負荷に耐える高い信頼性が不可欠な航空宇宙やモータースポーツの構造部品にとって、極めて重要な特性です。
Siフリー組成は、造形後の表面加工において大きな優位性を持ちます。特に、一般的なアルミニウム合金に見られるAM造形特有の制約を低減し、装飾用・硬質陽極酸化処理(アルマイト)や化学研磨といった高品質な表面処理を可能にします。また、特殊な微細構造により、従来の合金よりも優れた耐食性を発揮します。
レーザーパウダーベッドフュージョン(L-PBF)プロセス向けに特別に設計されており、高出力レーザーの使用を可能にし、造形速度と生産性を大幅に向上させ、産業応用における実用性とコスト効率を高めています。
Aheadd® CP1が持つ「軽量」「高強度」「高熱伝導性」という特性は、性能がコンマ数秒、数グラムの差で決まる極限のエンジニアリング分野に革命をもたらす可能性を秘めています。
航空宇宙産業にとって、部品の軽量化は燃費向上やペイロード(搭載量)の増加に直結する絶対条件です。Aheadd® CP1は、高い強度を維持しながら軽量化を実現し、AMによる複雑な格子構造などの設計を可能にします。特に、人工衛星やロケットの電子機器の冷却システムや熱交換器においては、その優れた熱伝導性が、過酷な温度環境下での性能と信頼性の維持に不可欠な要素となります。AM技術の活用により、複数の部品を一体化した複雑な統合部品の製造が可能となり、部品点数の削減にも貢献します。
モータースポーツ、特にF1などの最高峰のレースでは、エンジンの熱効率を高めるための熱交換器や、空力性能を最適化するための部品に注目が集まっています。Aheadd® CP1の高い熱伝導性は、冷却効率を極限まで高め、エンジンやパワーユニットのパフォーマンスを最大化するために利用されます。この分野が注目するもう一つの大きな理由は、AM技術による迅速な開発サイクルです。Aheadd® CP1はAMに最適化されているため、レースシーズン中の設計変更や改良を短期間で部品に反映させることができ、競争上の優位性を維持するための重要なツールとなっています。実際、この材料はFIAフォーミュラ1のAM用コンポーネントとして承認を受けています。
当サイトを運営する東金属産業株式会社は、モータースポーツ・レーシングカー向けの空力パーツ(エアロパーツ)や補強部品をはじめ、航空宇宙、半導体、自動車など様々な業界向けに金属3Dプリンティングの材料開発・試作・量産を行っております。
機密保持の関係上、具体的なお客様名やレーシングカーに搭載されている部品の画像は絶対にお見せすることはできませんが、国内の主要レーシングチーム様向けに、フロントサスペンションのタワーブレーンやリヤウイングのルーパー、クラッシュボックスなどの造形品を納品させていただいた実績がございます。実機向け・テストカー向けいずれもお任せください。
当社では、これまで5,000点以上の金属積層造形の試作・量産実績があり、その経験を活かして、切削・研削加工など従来の製造プロセスでは実現困難であった複雑形状や機能性を、金属3Dプリンティングへの工法転換によって実現することをご提案しております。

基本的には、後工程を不要とするネットシェイプ・ニアネットシェイプを目指しますが、要求される面粗度や寸法精度によって後工程が必要になることがあるため、当社では切削、溶接、組立、熱処理、仕上げまでワンストップで対応できる体制を整えております。
さらに、アルミニウム(AlSi10Mg)、ステンレス(SUS316L)、マルエージング鋼、インバーなど様々な造形材料の実績があり、チタン、インコネル、銅合金、樹脂なども協力企業と連携して対応可能です。
切削加工品の工法転換や、部品開発・試作段階における金属積層造形をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
